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砂漠の都市ベエルシェバ【ど素人イスラエル旅行記:7】

  • 執筆者の写真: Hiroki Okuyama
    Hiroki Okuyama
  • 2019年10月15日
  • 読了時間: 5分

更新日:2019年10月16日

 シャローム!


 久方ぶりの、奥山です。


 地中海の日差しを浴びながらヤッファのレストランで美味しい料理を食べて、いよいよ次の目的地、砂漠の都市ベエルシェバへ。


・皮なめしシモンの家の近くにあるレストラン『Bell』

・料理も店の雰囲気もウェイターさんたちもステキでした!


 今までテルアビブの大都会だの、ヤッファの地中海だの、ど素人からすると、イスラエルのイメージからかなり遠いような景色を見てきましたが、ついに『砂漠』を目指します。


【砂漠の都市ベエルシェバ】


 ベエルシェバ(Beer-sheba)は、ヤッファから南へ車で1時間ちょいのところにあります。イスラエルのほぼ南半分を占めているネゲブ砂漠の入り口にあたる都市です。ベエルが「井戸」、シェバが「7」または「契約」という意味だそうで、旧約聖書におけるアブラハムの物語に由来しています。


 バスに乗って外を眺めていると、今まで通ってきた場所と比べて、草木も少なくて、ど素人のイメージする中東っぽい荒れ野が広がってきました。その荒野に忽然と現れた都市ベエルシェバ。テルアビブほどではないものの、ベン・グリオン大学など大きな施設もたくさんあって、イスラエル南方では最大級の都市です。


 ここでは『アブラハムの井戸』がある『Abraham's Well』に行きました。


 アブラハムの話についての映像資料を観ることができる国際観光センターです。


 敷地内にある『アブラハムの井戸』はその大きさに驚かされます。日本でよくイメージされる井戸は人ひとりがやっと入れるような幅ですが、この井戸は車が入りそうなくらい大きいです。ドラクエやってる人なら、井戸の中を探索するときにその広さに違和感を覚えたと思いますが、『アブラハムの井戸』を見れば納得するでしょう。


 また井戸のそばには『ギョリュウの木』が植えられています。漢字では御柳と書くとおり、柳のような木です。アブラハムがベエルシェバに植えたことで知られています。


【信仰の父アブラハム】


 アブラハムは旧約聖書に出てくる人物で、キリストの先祖にあたります。神さまから故郷を離れるように言われたのは、アブラハムが75歳のとき。そして旅を続け100歳になり、90歳の妻サラとの間にイサクという男の子が生まれます。


 年齢がすごいことになっていますが、日本神話でも日本を建国した神武天皇が127歳まで生きてたりするので、昔の人は年齢の数え方が違ったのかもしれません。日本だと川上から桃が流れてくるところ、サラはまさに命懸けでイサクを産んだのだと思います。なんにせよ、ずっと不妊で悩んでいたアブラハムとサラにとってイサクはとても大切な存在でした。


 そこで神さまは、なんとそのイサクを生贄に差し出すようアブラハムに言います。そしてなんとアブラハムはその言葉に従い、翌朝にはイサクを連れてモリヤ山へ向かって、我が子を生贄に差し出そうとします。前回紹介したペテロは、神さまに促された食事を3回も断っているのに。その姿に、神さまは彼の信仰を認め、イサクを殺めんとするアブラハムを止めたのでした。さらに彼の子孫が繁栄し、世界から祝福されることを宣言されました。


 アブラハムが『信仰の父』と呼ばれる由縁です。





 歳をとって故郷を離れ、やっと生まれた我が子を生贄に差し出そうとするほど、神さまの言葉を信じぬいたアブラハム。ここまでしてようやく子孫が繁栄できるほど、イスラエルは過酷な土地だったのだろうかとも思いました。アブラハムの話を聞くと、初詣のお賽銭で「五円玉にはご縁があるからね」と銭を投げたくらいじゃ願いは叶わないなと、身が引き締まる思いです。


※アブラハム:ユダヤ教・キリスト教・イスラム教を信仰する人々の始祖であり、ノアの洪水後に人類救済の出発点として選ばれた最初の預言者。『信仰の父』とも呼ばれる。とかくスゴい人なのである。


※サラ:アブラハムの正妻。90の齢にしてアブラハムとの間にイサクを産む。奴隷で側室のハガルとは、めちゃくちゃドロドロしている。


※イサク:アブラハムの子。実は生贄に捧げられる直前にそのことを悟るが、抵抗せずに受け入れたという。


【アブラハムとベエルシェバ】


 またアブラハムにはベエルシェバの由来となったとされる物語があります。


 アブラハムが掘った井戸をアビメレクの部下が奪ってしまったことがありました。「奪うのはどうかと思います。この井戸掘ったのワシですよ」というアブラハムに対し、アビメレクは「そんなん知らんやん。聞いてないし、君も今まで言ってこんかったやんか」としらばっくれます。本当に知らなかったのかもしれないけれど。「わかった。だったら契約(シェバ)しましょう。選りすぐりのメスの子羊7匹をあなたにあげるんで、それをこの井戸(ベエル)が私のものだという証拠にしてください」ということで、アブラハムとアビメレクがベエルについてシェバったのでした。


※アビメレク:ペリシテ人の王。ペリシテ人は聖書の中で古代イスラエルの敵として登場する人々で、その起源については諸説あり、なかなかに謎な存在である。



 こういった物語はイスラエルの人々が信じる神話であり、現在のイスラエルへ繋がっている歴史でもあります。日本の古事記も神々の話であり、現代の日本へ繋がっている歴史でもありますが、学校で教わることもなく、知ろうとしなければ知り得ないことです。僕も全く知りませんでした。


 『Abraham's Well』のスタッフさんは僕と歳がそう変わらないようでしたが、アブラハムの物語についてしっかり堂々と語っていました。その姿を見て、日本のこともイスラエルのことも全然知らないど素人であったことを、改めて思い知らされ、旅を通じて学んでいこうと決意を新たにしたのであった!の、でした。


 次回はそろそろ砂漠の話かな、といったところで今回はここまで!読んでくれたみなさん!ありがとうございます!


 トダラバ!

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