使徒の名は。【ど素人イスラエル旅行記:6】
- Hiroki Okuyama
- 2019年8月1日
- 読了時間: 4分
シャローム!
人生1回目、奥山です。
さてさて。
皮なめしシモンの家にやって来た人物、その名もシモン。

あれ、またまたシモン?
そうなんです。
皮なめしの彼と同じ名前なんです。
シモンってイスラエルにはけっこうある名前なんでしょうか。
【使徒、登場】
現在、シモンは苗字としても名前としても、イスラエルに限らず、さまざまな国で使われています。実はジョンとか、マイケルとか、ポールなんかも、聖書に出てくる人の名前が由来だったりします。
さらに今回登場したシモンには別名があります。ジョンやマイケルと同じく「よく耳にする外国人の名前ランキング」上位に君臨する「Peter (ピーター)」、その由来となった人物。
その名はペトロ。
名付け親は、イエス・キリストです。
ペトロはキリストの一番弟子です。キリストの弟子12人のことを「使徒」とも言いますね。彼はキリストの死後も、師から学んだ教えを広めるため活動を続けていました。
【ペトロの活躍】
ヤッファの街でタビタという女性が病気で亡くなったことを知り、この街へ駆けつけたのです。タビタさんはめっちゃ良い人で、ヤッファ中の人たちに愛されていたそうです。キリストの一番弟子であるペトロもまたすごい人で、「起きなさい」と言って、タビタを生き返らせました。ヤッファの人たちはペトロに感謝して、キリストの教えを信じるようになりました。
【皮なめしの意味するもの】
ペトロはしばらくヤッファの街に滞在することにし、皮なめしシモンの家に泊まっておりました。なるほど、やっと話が繋がりましたね、シモンとペトロ。しかしまた何故、シモンの家なのでしょうか。これは以前に投げかけた「なぜ皮なめしシモンは聖書に登場するのか?」という疑問にもリンクします。
キリストの一番弟子であり、「起きなさい」の一言で死んだ人も蘇る、聖人ペトロ。そんな彼が「卑しい」と考えられていた皮なめし職人の家に滞在することで、キリストの教えは職業による差別をしないということが表現されているのだと考えられているようです。たしかにそう考えると職業に貴賎はないのだという意図がくみ取れそうですね。
【そして世界へ】
ヤッファでのペトロのエピソードはもう一つあります。
皮なめしシモンの家に滞在するようになったペトロ。ある日のお昼時、彼は非常にお腹が空いておりました。それはもう我を忘れるほどに。すると空からたくさんの食料が大きな布に乗せられて降りてきました。これらを神様が食べるようにペトロに勧めますが、ペトロは断固拒否します。降りてきた食べ物はどれもこれもユダヤ人が食べてはいけないとされてきたものだったのです。
(いやいや神さま、これ食べたらいけんやつじゃないんですか!汚れたもんは食べられません!)
(そうやけど、おま、神が清めたもんやんか。食べられんことはないやろ。ええけ食べりーや。)
的なやりとりが3回もありました。
ペトロも神さまに向かってけっこう言いますね。
もちろん実際に食料が降ってくるようなことはなくて、これはペトロがあまりにも空腹なために見た幻です。普通ならぼーっとしてたと思ってスルーしちゃいそうですが、そこは聖人、今の幻には何かメッセージが隠されているんだと考えます。すると皮なめしシモンの家にコルネリウスという人から使者が送られてきました。
コルネリウスはローマ歩兵部隊の百人隊長です。彼はローマ人ですが、ユダヤの神を信仰していました。どうやら夢で神様から、使徒ペトロを招くように告げられたそうです。つまり使者たちは、外国からペトロを呼びにきたわけです。ペトロはペトロで、神様からその招待に応じるよう告げられたので、急いでコルネリウスの元へ向かいます。
外国の人がユダヤの教えを請い洗礼を受けたのはこれが初めてのことです。神様はペトロの中にある食べ物の常識を破ってみせることで、新しい扉を開いて見せたのではないでしょうか。食べ物に清いだの汚いだのないんだよ。神様の教えることにユダヤ人だのローマ人だのは関係ないんだよ。ど素人から見ても、このメッセージは現代にも通じるような深いものに感じました。枠なんかないんだぜ。
今でこそ聖書は世界中で読まれていますが、まさにこのエピソードこそ、ユダヤの教えが世界に広まる第一歩だったのです。
本当に死人を蘇らせたのか、神様の声を聞いたのか、僕にはさっぱりですが、こんなふうに物語に大事なメッセージを込めて後世に残していくのは、なんだかロマンチックで素敵だなあと、今までの聖書に対する枠がほどけていくような思いです。
こんな話をイスラエルの現地で聞いた時は、正直一度に入ってこなくてポカンとする部分もありました。なにせ初めての聖地なもので。しかしその話を元に、後からこうして調べたりすると、面白くて面白くて、知識や物語がスポンジで吸ったように吸収されていきます。
旅の経験が為せる業ですね。
ここまで読んでくれたみなさん、ありがとうございました!
トダラバ!
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